クラウドストレージとは
ここ最近よく耳にするクラウドストレージとは、クラウド環境にあるストレージ(データ保存環境)を意味します。またインターネットを通じたファイルの保存や共有を可能にすることから、オンラインストレージとも呼ばれることもあります。
従来はローカル環境にストレージを用意し、ファイルのバックアップを行っていました。しかしクラウドストレージを導入することで、手軽にファイル共有やバックアップを取得できることから、個人と法人を問わず、利用が拡大しています。
利用する上で把握しておきたい個人向け/法人向けの違い
市場拡大とともに多彩なクラウドストレージが登場!近年では法人向けに特化したサービスも多くなってきています。ではざっくり言うと個人向けと法人向けの違いとは?
○セキュリティレベル
法人向けは重要書類などのセキュリティ面での安全確保が重要です。
○価格
個人向けは数GB~数十GBまで無料で利用できることが一般的です。法人向けは無料でお試しコースを除き、有償です。数TBクラスの容量を使用する場合は、法人向けサービスの方がコストを低く抑えられる場合もあります。
○ファイル共有
個人向けサービスでは、大人数や複数ユーザーでのファイル共有は前提とされていません。 そのためファイル共有時に、細かいアクセス権限は設定できないことも少なくありません。一方、法人向けの場合は、業務での使用を前提としているため、多人数での同時利用も考慮されています。
法人向けクラウドストレージとは
企業が業務効率化やデータ保護のために導入する、インターネットベースのデータ保管サービスです。単なるファイルの保管場所にとどまらず、業務に必要なセキュリティ機能や柔軟な運用が可能な点が特徴です。クラウド上でデータをやりとりすることから、「クラウドストレージ」としても知られています。
社内ファイルサーバーとの違い
従来の社内ファイルサーバーでは、サーバーの設置やメンテナンスに多くの時間とコストがかかりましたが、クラウドストレージはその負担を軽減します。たとえば、データ容量が増えた場合も、ボタン一つで簡単に拡張できるなどの柔軟性があります。また、インターネットに接続さえすればどこからでもアクセス可能なので、リモートワークの普及にも対応しやすいです。
個人向けクラウドストレージとの違い
多くの個人向けクラウドストレージサービスは手軽に利用できる一方で、セキュリティ面では法人向けサービスほどの安心感はありません。法人向けのクラウドストレージは、情報漏えいや不正アクセスを防ぐための強力なアクセス制限機能や、データ復旧の仕組みが整っています。これにより、企業は機密データの保護や業務の継続性を確保できます。
具体的な違いとしては:
- アクセス制限を細かく設定でき、情報漏えいのリスクを最小限に抑える
- データのバックアップと復元が迅速に行えるため、災害発生時のBCP対策にも貢献
- シャドーITを防止し、許可されていないサービスの利用を制限できる
法人向けクラウドストレージの選び方
近年では個人情報の取り扱いが厳しく管理されるようになり、クラウドストレージにもより高いセキュリティが求められています。法人向けクラウドストレージを選ぶ際は、データ暗号化や多要素認証といったセキュリティ機能、ファイルのアクセスログ機能などの利便性も重要です。加えて、企業の成長に合わせて容量や機能を拡張できる柔軟性も評価基準となります。
目的別の違い
自社に最適なクラウドストレージを選ぶには、導入目的や利用範囲を明確にすることが重要です。ここでは、3つの代表的な導入目的に応じたおすすめのタイプを紹介します。
1. 特定の部署やプロジェクトで利用したい場合 → 「ユーザー課金タイプ」
商品開発やマーケティングなど、特定の部署やプロジェクトでの限定利用を想定している場合には、ユーザー課金タイプのストレージが最適です。このタイプでは、利用人数に応じて料金が設定されるため、初期導入コストを抑えつつ、必要に応じて拡張が可能です。
具体的には、「1ユーザーあたりいくら」といった形で料金が設定され、少人数での試験導入に向いています。たとえば、少人数のスタートアップやプロジェクトチームでの利用が考えられます。ただし、導入対象を明確にしておかないと、一部の社員が非公式のストレージ(シャドーIT)を利用するリスクがあるため、注意が必要です。
2. 全社導入を検討している場合 → 「データ容量課金タイプ」
企業全体でファイル共有を一元化したい、または既存のファイルサーバーをクラウド化したい場合には、データ容量課金タイプが適しています。このタイプは、ユーザー数にかかわらず、使用するデータ量に応じて料金が決まるため、大人数での利用でもコスト効率が良いのが特徴です。
たとえば、従業員数が多く、社内全体での利用が前提となる中堅・大企業では、こうした容量課金のサービスが最適です。特に、社内でやり取りするデータ量が安定している場合は、月額の予算が予測しやすく、運用がしやすいといえます。データ量に応じた柔軟なプランを選ぶことで、企業の成長に合わせたスムーズな拡張が可能です。
3. 社外とのファイル共有が必要な場合 → 「ファイル転送機能が充実したタイプ」
社外パートナーやクライアントと共同作業をするプロジェクトでは、ファイル転送機能に優れたオンラインストレージが求められます。このタイプは、セキュアな環境でのファイル共有が可能で、社内外問わずスムーズなやり取りを支援します。
ファイル共有の際のセキュリティ対策には、通信の暗号化やIPアドレス制限、ウイルスチェックが必須です。また、内部統制を強化するための機能として、ファイルのダウンロード期限の設定、上長承認プロセス、アクセスログの管理などが備わっていることもポイントです。このような機能により、外部との連携をより安全かつ効率的に行うことができます。
個人向けクラウドストレージの活用法とメリット
1. コスト面での柔軟性
クラウドストレージは容量に応じて費用が異なりますが、多くのサービスが無料プランを提供しており、一定容量までは無償で利用可能です。たとえば、Googleドライブは15GBまで無料、100GBは月額250円で利用できます。外付けHDDは数万円の初期投資が必要な上、破損のリスクもあるため、無料または安価なクラウドストレージはコストパフォーマンスに優れています。
2. 複数デバイスでのデータ共有の利便性
多様化するデバイスの利用により、PCやタブレット、スマートフォンなどを用途に応じて使い分ける人が増えています。例えば、PCで作成した文書を通勤中にスマホで見直したい場合、従来はPCからスマホへデータをメールで送る手間が必要でした。しかし、クラウドストレージを活用することで、どのデバイスからでも同じデータにアクセスでき、編集も可能になります。さらに、チームでの共同作業にも適しており、権限を持つ人が自由にデータを閲覧・編集できます。
3. デバイスの買い替え時のデータ移行の簡便さ
PCやスマホの買い替え時、旧デバイスから新デバイスへのデータ移行は大変ですが、クラウドストレージを利用すればこの手間が大幅に軽減されます。データがクラウド上に保存されているため、新デバイスでのセットアップも迅速に行えます。
4. バックアップ作業の簡略化
従来、データはPCやスマホのHDDに保存し、デバイス故障に備えてバックアップを取る必要がありましたが、クラウドストレージなら定期的なバックアップの手間が省けます。データはクラウド上に安全に保存されるため、デバイスの不具合が発生しても安心です。日頃からクラウドにデータを保存する習慣を持つことで、バックアップに費やす工数も削減できます。
クラウドストレージを選ぶ際に気を付けたいポイント
個人向け
1. 強固なセキュリティ
個人でも重要な情報を扱う場合は、セキュリティが重視されます。無料プランでも暗号化やアクセス制限を備えたサービスを選び、不正アクセスや情報漏えいのリスクを最小限に抑えましょう。
2. 無料プランの利用から始める
個人利用の場合、まずは無料プランでサービスを試し、自身のニーズに合うかどうかを確認しましょう。必要に応じて有料プランに移行することで、ストレージ容量をコストに合わせて柔軟に拡張できます。
3. データ保存期間の確認
無料プランの場合、保存期間に制限があるサービスもあるため、バックアップ用途として使用するには適していない場合があります。利用するサービスのデータ保持ポリシーを事前に確認しましょう。
4. 機能性と利便性
同期タイプやファイルの共有・管理機能も選定時の重要な要素です。特に、リアルタイムの同期が必要な場合は同期型、特定のファイルを個別に管理したい場合は非同期型が適しています。
5. デバイスとの相性
デバイスとの親和性は、効率的な運用に直結します。iPhoneやMacユーザーにはiCloud Drive、WindowsユーザーにはOneDrive、AndroidユーザーにはGoogleドライブがスムーズに利用できます。
6. 十分な容量
個人用クラウドストレージを選ぶ際は、5GB以上の無料容量を提供するサービスが望ましいです。Googleドライブ(15GB)やOneDrive(5GB)など、無料でも十分な容量を持つサービスを活用すると安心です。
クラウドストレージのシェアは?
○個人向け
Google Drive
iCloud Drive
Microsoft One Drive
Dropbox
他にはMEGAやfirestorage等、操作も簡単かつ無料で利用できるクラウドストレージもありますが、広告表示やメンテナンスが多かったりするなどあまり快適ではないので、今のところは上記に挙げた大手を使うのが得策と言えるでしょう。
○法人向け
ユーザー課金タイプ:
Box, Box over VPN, Dropbox Business など
データ容量課金タイプ:
Everidays, Sooth File, セキュアSAMBA など
ファイル転送充実タイプ:
ファイル箱(Smartshare), GigaCC ASP, Bizストレージ ファイルシェア, クリプト便 など
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