この記事の目的
今やビジネスにおいてコンピュータ・情報・通信などを中心とする「IT用語」に対する知識は欠かせません。
あまり馴染みがない各分野のIT用語を、なるべく専門用語を使わずに解説していきます。
この記事の対象読者
Web制作を始めたばかりの人。
自社のWebマーケティングを任された人。
専門用語についていろいろ知りたい人。
Webマーケティングを行なっているが、言葉の定義を再確認したい人。
など、Webに限らずDXに携わるすべての方に。
WebPとは
WebP(ウェッピー)とは画像形式の一種で、画質の劣化を最小限にしつつ高圧縮(ファイルサイズをできるだけ軽量にすること)を目的として、Googleが開発しています。拡張子は「.webp」です。
WebPはウェブサイトにおいて特に効果を発揮し、表示速度の高速化や通信容量削減を実現します。さらに透過処理やアニメーションも対応可能なため、PNGやGIF、JPGの特徴を併せ持つ次世代画像形式です。
WebPの歴史
WebPはウェブサイトのトラフィック量軽減と表示速度短縮を目的としてGoogleが開発し、2010年に発表、各種ツールの提供が始まりました。WebP画像は軽量かつ高画質なので、ウェブサイトには有利な画像形式です。しかし以前は対応ブラウザがごく一部であったため、なかなか普及しませんでした。
発表当初は当然ながらGoogleが開発したブラウザであるChromeが先駆けてWebPに対応します。その後、2014年頃からChromeがブラウザシェアで断トツ1位になったことを皮切りに、他の主要ブラウザが対応してきます。2018年にMicrosoft Edgeが、2019年にはFirefoxが対応、最後まで対応していなかったSafariが2020年に対応したことにより、WebPがついに主流の画像形式の仲間入りを果たしたと言えます。
その他の画像形式との違い
ウェブサイトでよく使われる画像形式はJPG、PNG、GIFが挙げられます。違いは以下の通りです。
画像形式 | WebP | JPG | PNG | GIF |
---|---|---|---|---|
色数 | 約1677万色 | 約1677万色 | 約1677万色 | 256色 |
圧縮方式 | 非可逆・可逆 | 非可逆 | 可逆 | 可逆 |
ファイルサイズ | 小さい | 小さい | 大きい | 非常に小さい |
透過処理 | ○ | ☓ | ○ | ○ |
アニメーション | ○ | ☓ | ☓ | ○ |
JPGとの違い
JPGは高画質かつ高圧縮を実現した非可逆圧縮の画像形式です。ただし透過処理ができず、アニメーションもできません。一方WebPは、高画質、高圧縮、フルカラー対応でありながら透過処理、アニメーションともに可能です。どちらの画像形式もフルカラー対応で繊細な色彩の表現が可能であるため、写真の保存に適した画像形式と言えます。ただし可逆圧縮であるため、加工、編集、保存をくりかえすと画質が劣化していくデメリットがあります。
PNGとの違い
PNGは可逆圧縮と呼ばれる圧縮形式で、非可逆圧縮と違い、編集や加工した際に画質が劣化することがありません。またPNGは透過処理が可能です。ただしファイルサイズが大きくなりやすく、アニメーションには非対応です。
一方WebPは可逆圧縮にも対応しており透過処理が可能です。アニメーションにも対応しています。
GIFとの違い
GIFは主にアニメーションを使う場合に使用される画像形式です。WebPとGIFの大きな違いは表現できる色数の差です。GIFは色数が少なく、最大256色であるため、簡単なロゴやイラストに向いています。透過処理、アニメーションに対応している点はWebPと同じです。
WebPのメリット
WebPのメリットは以下のとおりです。
- 同等画質のJPGと比較してファイルサイズを20%以上削減
- 透過処理ができる
- アニメーションできる
- 画質劣化のない可逆圧縮も可能
WebPは画質の劣化を抑えつつファイルサイズを軽量化できます。しかもJPGよりもさらに高い圧縮が可能なため、画像をWebP化することによりウェブサイトの表示速度高速化が可能になります。ページの表示速度は近年のSEO対策では主流であり、メリットが大きいです。
さらにWebPは非可逆圧縮でありながらPNGと同様に透過処理(アルファチャンネル)をサポートし、GIFと同様にアニメーションに対応しています。
WebPはJPG、PNG、GIFのメリットを併せ持っているため、これまでは用途に応じて使い分けが必要だった画像形式ですが、WebPに一本化できます。
WebPのデメリット
- 非対応ブラウザ、非対応ソフトがある
- 対応する画像編集ソフトが限られている
WebPのデメリットは、IEなどの非対応のブラウザがあります。また画像編集ソフトによっては対応していない場合もあります。画像編集ソフトが非対応の場合、直接WebPを書き出すことができずに別のツールでWebPへ変換する手間などもかかります。ただしWebPは普及段階から主流の画像形式への移行段階に進んだため、各サービスのWebPへの対応も進むと予想されます。
まとめ
WebPは画質を維持したままファイルサイズを削減できる次世代画像形式です。ウェブサイト上の画像をWebP化することで表示速度の改善が見込めます。さらに現在主流の画像形式であるJPG、PNG、GIFの特徴を持っているため完全にWebPに置き換えることも可能です。まだ非対応のサービスがありますが、今後対応が進むと思われます。