VPS(バーチャル・プライベート・サーバー)は、仮想的な専用サーバーを構築するサービスです。低コストでありながら機能性も高いなど、注目を集めています。
しかし、さまざまなレンタルサーバー業者がVPSを提供しており、サーバーによって価格・機能・スペックなどが異なるため、「多くのVPSからどれを選択すればよいか分からない」と頭を悩ませる方もいるかもしれません。
この記事では、VPSの概要から選び方について徹底解説します。VPSの比較・検討を考えている方へ向けて、複数のVPSを選ぶためのポイントを押さえて解説しますので、ぜひご参考にしてみてください。
VPSとは?
VPS(Virtual Private Server)とは、「仮想専用サーバー」を意味する略語です。サーバー業者によって「VPS」と「仮想専用サーバー」の言葉遣いが異なるものの、どちらも同様のサービスを展開しています。
ただし、「仮想専用サーバー(VPS)」の多くは、実際には共用サーバーであるケースが大半です。従来の共用サーバーと違う点は、専用サーバーと同等の性能・機能を仮想的に構築する特徴があげられます。
VPSと共用サーバーの違い
VPSと共用サーバーは実際の仕組みが異なるものの、いくつか似たポイントが存在します。それは、物理的な1台のサーバーを複数の利用者で共有する点です。VPSはひとつのサーバーの中に複数の個別サーバーが構築されているため、サーバーの管理者権限を個別に付与・管理できます。
そのため、サーバーの設定変更や作業の自由度など、専用サーバーのように使い勝手に優れている点がメリットです。全体的な評価を踏まえると、価格や機能、スペック面などでVPSはバランスに優れています。
なお、ほかのユーザーと一切共有しない”専用サーバー”なら、物理的なサーバー1台を1ユーザーで専有できます。性能面ではVPSサービスの上位互換である一方で、コストが高額になってしまうデメリットも。VPSは機能性に長けつつ価格を抑えて利用できるため、共用・専用と比較すると、コストパフォーマンスにも優れている点がメリットです。
気になるVPSの選び方について
VPSの概要を踏まえたうえで、VPSの選び方について、チェックしていただきたいポイントをご紹介します。VPSをご検討中の方にとって、選び方のご参考になれば幸いです。
コスパの高さ
一般的に、レンタルサーバー業者が提供するプランの中でもVPSは比較的コスパに優れています。そのうえで、VPSを選ぶときは目的に合わせたプランを選定しましょう。
各サーバー業者でおおよそ3~5種類ほどのプランが出されており、プランごとに価格や機能性が異なるのはもちろん、業者によって得意としている傾向が異なる点に注意が必要です。活用したい容量・期間だけで選定してしまうと、VPSをお得に利用できないかもしれません。
たとえば、初期費用が0円のプランであったり、最低利用期間が設けられていなかったりなど、業者によってVPSの料金体系が大きく異なります。短期間での一時的なテストなら、初期費用が無料で利用期間も縛りがないプランをすれば、コスパよくVPSを利用できます。
用途や利用人数などの規模によって、VPSに求められる環境はさまざまです。まずは環境に必要な機能・スペックを満たすVPSを選定したうえで、それぞれのコストを比較検討しましょう。VPSに支払える予算と相談しながら、もっともコストパフォーマンスよく利用できるプランを見つけること が大切です。
コントロールパネルの操作性
コントロールパネルとは、レンタルサーバー内の設定を変更する管理画面です。レンタルサーバー業界で広く使われているタイプから、サーバー業者の独自開発でコントロールパネルが提供されているケースもあり、操作性が異なります。
使い勝手は人によって違いますが、一般的には使いやすいコントロールパネルが多いはずです。どのサーバー業者も利用者を増やしたいし、継続して使ってほしいはずですから。
事前に操作性を確認したい場合は、無料お試しサービスを利用するのもポイントです。本番環境に近いテストサーバーを提供している業者やお試し期間を設けている業者が多く、実際の操作感を体感できます。
コントロールパネルの操作感は、実際にVPSを使用するときの運用のしやすさにも繋がります。事前に良し悪しを確認するためにも、積極的な試用サービスの利用をおすすめします。
安心できるかどうか
「安心できるかどうかと言われてもよくわからない」と感じる方も少なくないでしょう 。これは、ユーザーに対するサポート体制やサーバー保守(例:監視代行サービス)の品質を指しています。
VPSはサーバーの管理を自分自身で行わなければならないケースもあり、サーバーに対する一定の専門知識が必要です。そのため、はじめはしっかり管理できていたものの、VPSを運用していくうちに「対処法がわからない」「自分では解決できない」などのトラブルが発生してしまう場合も。
その際、サーバー業者のサポートが充実していれば問題をスムーズに解決できる場合があります。特に緊急性が高い障害が発生したとき、業者への問い合わせ方法がメールやチャットだけではスピーディな対応を望みにくいのも事実です。
電話対応や専門オペレーターが在籍しているレンタルサーバー業者なら、VPS運用時のトラブルも適切にヒアリング&回答をもらいやすくなります。
また、VPSを利用するうえで「トラブルを未然防止する仕組み」に着目するのもポイントです。レンタルサーバー業者の中にはサーバー監視を代行するサポートがあり、サーバー状態(データの使用量やメモリ・CPU使用率など)を代理でチェックしてもらうことで、トラブル発生を未然に防げる場合があります。
なかでも、特に見落とされがちな問題が「サーバー容量が上限に達してしまう」トラブルです。メールやホームページ運用などによって徐々にデータが蓄積するものの、VPSをはじめレンタルサーバーの容量は基本的に上限が定められています。
知らないうちに上限に達してしまい、顧客からのメール受信やホームページが運用できなくなるなどのトラブルに見舞われるケースも少なくありません。サーバー監視などの安心サポートを依頼できる業者なら、事前に対処しやすくなります。
個人だけでサーバーを管理・運用するのは大変なため、データ管理・監視などの一部作業を代理でサポートしてもらえる業者を選定すれば、安心してVPSを運用できます。
VPS導入のメリット
VPSのメリットについてやんわりと触れていましたが、ここからはVPSを利用するメリット・デメリットについてご紹介します。VPSの選び方をさらに深堀りするため、レンタルサーバー業者を探している方はぜひVPS選びの参考にしてみてください。
アクセス過多による影響が少ない
VPSは「仮想専用サーバー」で、専用サーバーのように物理的なサーバーを占有するのではありません。仮想(バーチャル)の専用領域が提供されます。共用サーバーに比べて自身(自社)の領域がはっきり分かれ、共有する部分も少ないため、他ユーザーからの影響を受けにくい点がメリットです。
共用サーバーは他ユーザーと共有する部分が多いため、一部のユーザーがサーバーに負荷のかかるような運用をすると、同じ領域内にいる別ユーザーに支障が出ます。その結果、同じサーバー利用者に「メールが届かない」「ホームページの表示が遅い」などのトラブルが出てしまうのです。
一方で仮想専用サーバーなら、一人ひとりのユーザー毎に専用スペースが割り当てられているため、ほかのユーザーから影響を受けにくいメリットがあります。
カスタマイズの自由度が高い
VPSの大きなメリットは、サーバーの管理者権限(ル―ト権限)が付与される点にあります。共用サーバーとVPSを比較した場合、管理者権限の有無は重要なポイントです。
そもそも皆さんは“管理者権限”といった言葉自体、聞いた経験がありますでしょうか? 管理者権限は”root権限(ルート権限)ともいわれているので、もしかしたら管理者権限よりもroot権限の方が知っている人が多いもしれないですね。
管理者権限は、ユーザー自身に割り当てられているサーバー領域に対して、管理者の立場で作業ができる仕組みです。管理者権限があれば、運用に必要なアプリケーションを自分自身でインストールしたり、必要に応じてサーバー設定を変更したりできます。
一方で、共用サーバーではさまざまな環境やリソースを複数ユーザーで共同利用しています。同じ共有領域に他のユーザーもいるため、管理者の権限は誰にも付与されません。その結果、アプリケーションの細かい運用でトラブルが発生してしまうケースも。
ただし、レンタルサーバーの主な用途であるメール・ウェブサイトの利用において、必ずしも管理者権限が必要なわけではありません。細かな設定が必要ない利用目的なら、管理者権限がない共用サーバーでも十分に運用が可能です。
VPS導入のデメリットは?
VPSにはいろいろなメリットがある一方で、デメリットも存在します。ここからは、VPSを導入する際のデメリットや注意点についてご紹介します。
専門知識が必要
VPSは管理者権限が付与されている関係で、運用において専門知識が求められます。共用サーバーならサーバー業者側が対応してくれた部分を、自社内で対応しなければならないケースがあります。
運用開始時点でいえば、サーバーの初期設定をユーザー側で行う手順に知識が必要です。VPS契約の際、サーバー環境・コントロールパネルの用意等はサーバー業者側で実施します。
しかし、そのまま使い始められるわけではなく、ドメインを登録したり、必要な初期設定をしたりと運用開始までの準備が必要な場合があります。VPSの選び方でもご紹介したとおり、サポートに手厚いサーバー業者なら各手順をアシストしてくれます。
VPSの運用に不安を覚えている方は、業者選定でサポート力の比較検討が重要です。
共用サーバーと比べるとコストは上がる
”VPSはコスパがいい”とお伝えしていますが、共用サーバーと比べると当然コストは上がってしまいます。このため、VPSを検討する際、「本当にVPSが必要なのか?」を改めて振り返るのもポイントです。
もしかしたら、共用サーバーでも希望する運用を実現できるかもしれません。管理者権限は不要かもしれません。運用する上でランニングコストが発生するサーバーは、できるかぎり掛かる費用を抑えたい方も少なくないでしょう。
レンタルサーバー全体を通しての選び方として、VPSを利用する必要がどの程度あるのか、ぜひ一度立ち止まって考えてみること をおすすめします。
おすすめのVPS7選をご紹介!
ここまでVPSの選び方をテーマとして、具体的な選び方、メリットやデメリットなどをご紹介しました。
最後におすすめVPSについて、今回はおすすめのVPSサービスを7つご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
- KAGOYA CLOUD VPS 「メモリー4GB 」
- さくらのVPS 「2G」
- クラウドVPS byGMO 「V2」
- ConoHa VPS 「2GB」
- お名前ドットコム 「メモリ2GBプラン」
- ServersMan@VPS 「Standardプラン」
- Speever(スピーバー) 「ベーシック VP-2e」
KAGOYA CLOUD VPS 「メモリー4GB」
https://www.kagoya.jp/cloud/vps/
初期費用 | 無料 | 月額費用 | 1,540円 |
サーバー容量 | 30GB | メモリ | 4GB |
CPU | 4コア | サポート体制 | 電話|メール|チャット |
KAGOYA CLOUDのVPSは、 スペックの変更が簡単にできる特長があります。運用途中でスペックに不足が出たとき、面倒な手続きなしでサーバーのスペックを高められます。
さくらのVPS 「2G」
初期費用 | 無料 | 月額費用 | 1,738円 |
サーバー容量 | 100GB | メモリ | 2GB |
CPU | 3コア | サポート体制 | 電話|メール|チャット |
レンタルサーバー大手のさくらインターネットが提供しているVPSサービスです。恐らくレンタルサーバーを検討した方であれば”さくらインターネット”の名前をご存知かもしれません。データセンターを自社で運営しているため、トラブルの対処が早くユーザーとしては安心して利用できます。サーバープランのスペックは充分で、電話サポートにも対応しています。
クラウドVPS byGMO 「V2」
初期費用 | 0円 | 月額費用 | 1,628円 |
ディスク容量 | 100GB | メモリ容量 | 2GB |
CPU | 3コア | サポート内容 | 電話|メール |
GMOグループはテレビコマーシャルでも頻繁に目にする大手企業で、クラウドVPS byGMOは、このGMOグループが提供しているレンタルサーバーサービスです。レンタルサーバーブランドをグループ内で複数展開しており、バリエーションが豊富です。スペックも充分な性能を持ちます。
ConoHa VPS 「2GB」
初期費用 | 0円 | 月額費用 | 1,848円 |
ディスク容量 | 100GB | メモリ容量 | 2GB |
CPU | 3コア | サポート内容 | 電話|メール|チャット |
ConoHa VPSの特長は、やはり非常に安価な点にあるといえます。「25秒でVPS構築完了」をウェブサイト上で謳っている点も魅力的で、早めにサーバー環境がほしいといったニーズに応えてくれるはずです。
お名前ドットコム 「メモリ2GBプラン」
https://www.onamae.com/server/vps/
初期費用 | 無料 | 月額費用 | 1,446円 |
サーバー容量 | 200GB | メモリ | 2GB |
CPU | 3コア | サポート体制 | 電話|メール|チャット |
レンタルサーバーを運用するには独自ドメインが欠かせません。日本でドメイン取得といえば、「お名前.com」が有名です。お名前.comではドメインに限らず、レンタルサーバー提供も行っています。高スペックにもかからず比較的安価で、高品質なサービスが提供されています。
ドメイン取得の大手ため、聞きなれないドメインをあえて取得したいといった方は検討する価値ありです。
ServersMan@VPS 「Standardプラン」
初期費用 | 0円 | 月額費用 | 1,027円 |
ディスク容量 | 100GB | メモリ容量 | 2GB |
CPU | 不明 | サポート内容 | 電話|メール |
ウェブサイトでなんと「月額385円(税込)から使えるVPS」と謳っています。非常に安価な特長を持ち、価格だけ見れば共用サーバーかと勘違いするかもしれません。コストを抑えて、トライアルの位置づけでVPSを試用してみたい方にもおすすめです。
Speever(スピーバー) 「VP2-alma-plesk」
初期費用 | 3,300円 | 月額費用 | 5,610円 |
ディスク容量 | 50GB | メモリ容量 | 2GB |
CPU | 1コア | サポート内容 | 電話|メール |
Speever(スピーバ―)は、弊社、ライド株式会社が提供するレンタルサーバーです。16年にわたってレンタルサーバーの提供を続けており、導入実績は2万社を超えます。十分なスペックを備えており、安定したサーバー運用を実現できます。
スピーバーの電話サポートはお客さまからの満足度が高く、ご好評いただいております。初めてVPSを利用される方でも、細かな設定までしっかりサポートいたしますので、VPSをご検討であればぜひ一度お問合せください。